序章 |
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1 このマニュアルのねらい |
分譲マンションの良好な維持保全は、区分所有者にとって快適な居 |
住環境の維持のために欠くことのできない行為でありますが、結果的 |
には区分所有者を含む「まち」や「都市」の環境保全に密接につなが |
っていくものです。 |
このマニュアルでは、このような状況を踏まえて、分譲マンション |
の維持保全の中でも合意形成に多大の労力を要するところとなってい |
る計画修繕のすすめ方をとりあげ、基本的な考え方や具体的な方法に |
ついて解説しています。 |
具体的には、長期修繕計画の作成、修繕積立金の充実、計画修繕の |
実施方法を柱として、計画修繕を系統的に実施していく上での管理組 |
合の手引きとして利用されることを目的としています。 |
管理組合の方々がこのマニュアルの趣旨を十分理解し活用されるこ |
とで、主体性をもって計画修繕に取り組まれ、皆様の分譲マンション |
の居住環境の維持・改善、資産価値の保全のための合意形成がスム- |
ズに進み、計画修繕の確実な実施に結び付くこと、ひいては住宅スト |
ックの改善・向上につながれば幸いと考えています。 |
なお、このマニュアルの性格は、あくまでも手引きであり、基準と |
して一律に義務づけるものではありません。 |
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2 想定するマンション |
分譲マンションのタイプは分類の仕方で様々に分けられます。複数 |
の住棟からなるいわゆる団地型か単棟型か、リゾ-ト型か居住型か、 |
戸数規模はどうかなどのほかに住居専用か店舗など住宅以外の施設を |
併存するか、構造・高さはどうかなどいろいろ考えられます。 |
マンションのタイプによって計画修繕についての合意形成の方法は |
重点の置きかたがやや異なってくるのは当然です。賃貸住宅が多くな |
れば合意形成は二重の手間になるばかりか区分所有者間の利害関係の |
違いからより難しくなるのが普通です。 |
このマニュアルでは、計画修繕について管理組合内部での合意形成 |
を図る上で基本的な考え方や事項を解説するということから、わが国 |
における最も平均的なマンションを念頭に置いています。 |
具体的には、①中高層、②単棟型、③50~100戸程度、④世帯用住居専 |
用のマンションを中心にして解説します。 |
マンションによってはこのマニュアルの説明にそぐわない部分もあ |
ることが考えられますが、基本的な考え方の趣旨に則り、それぞれ個 |
別の条件に合わせて臨機応変に応用していただくことを願っています。 |
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[ことばの定義] |
このマニュアルで用いる用語の中で、専門的なものに限り、次のよ |
うに定義することにします。 |
専有部分:分譲集合住宅の区分所有者が「区分所有法」第2条第3 |
項でいう区分所有権の目的とする建物の部分(例 住戸 |
内部) |
共用部分:「区分所有法」第2条第4項でいう専有部分以外の建物 |
の部分と建物の付属物及び「区分所有法」第4条に規定 |
する部分(例 共用庭、階段、建物の躯体等) |
共 有:区分所有者全員または当該施設にかかわる区分所有者の |
共有となる部分で、おおむね共用と同義語 |
専用使用:敷地及び共用部分等の一部について、特定の区分所有者 |
の排他的な使用が認めらる部分(例 バルコニー、専用 |
庭) |
マンション:このマニュアルでは中高層分譲共同住宅をさす |